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マスティックと感染症 (学術資料)

マスティックと感染症

学術資料、「マスティックを感染症について」 より紹介します。
(九州大学大学院准教授 宮本智文 先生)



1 感染症と微生物

 マスティックの話をする前に、少し感染症についてお話しておきます。

 微生物がはじめて発見されたのは17世紀の後半です。
それまでは何が原因かわからず、神罰説などが唱えられました。
18世紀の末には、ゼェンナ―の種痘法が開発されました19世紀後半になると、コレラ菌、結核菌、破傷風菌などが次々と発見され、微生物原因説が全盛をむかえました。

 そして20世紀に入るとサルバルサンが発見され、1928年にはフレミングによってペニシリンが発見され、多くの細菌性疾患できるようになりました。やがて、ストレプトマイシンやポリオワクチンなども作られました。

 ところで、生物は真核生物と原核生物に大きく分けられます。

 真核生物は、動物界(ヒト、節足動物、寄生虫など)植物界(草木、藻類など)菌界(カビ、酵母、キノコなど)それに原生生物(原虫など)に分けられます。

 原核生物は細菌界(モネラ界)で、これは真性細菌(一般細菌、リケッチア、クラミジア、藍藻類)と古細菌、リケッチア、クラミジア、藍藻類)と、古細菌に分けられます。

 それに、生物と無生物の中間的な存在として、ウイルスやプリオンがあります。

 一口に微生物といっても、大きさはかなり違います。
ヒトはメートル単位ですが、ダニやノミになるとミリメートル単位になります。
ヒトの細胞は100マイクロメートル(μm=100万分の1メートル)くらいです。
酵母やカビは10マイクロメートルくらいで、一般細菌は1マイクロメートルほどです。
ウイルスはさらに小さく、数10ナノメートル(nm=10億分の1メートル)です。


 
 これからの疾患に対してどのような薬剤が効くのかみてみますと、寄生虫に対しては駆虫剤が効き、一般細菌やリケッチア、クラミジアには抗細菌薬が効きます。

真菌には抗真菌薬が効きますが、その他の薬剤は効きません。

インフルエンザに効くのはインターフェロンくらいですが、これは他の微生物には効きません。

よくインフルエンザのとき抗生物質が出されますが、あれは二次感染を予防するためで、ウイルスをやっつけるためではありません。


 感染症が成立するには三つの要因があります。そ
れは「感染源」「感染経路」「感受性の宿主」です。

≪感染源≫
・人 =患者、保菌者(潜伏期保菌者、病後保菌者、健康保菌者)
・動物=ペット、家畜などの保菌動物                           
・環境=土壌、大気、水系、その他

≪感染経路≫
・直接伝播(飛沫感染、接触感染)
・関節伝播(動物媒介、空気感染)
・垂直伝播(体内感染、産道感染、母乳感染など)

≪感受性の宿主≫
・易感染宿主(新生児、未熟児、高齢者、基礎疾患=糖尿病、ガンなど)
・一般的な抵抗力の宿主

 この3つがすべてそろうと感染症が発生します。



 今、ペットブームで多くの動物が飼われています。
これまでは「種の壁」があり、動物から人へは移らないと考えられていましたが、人獣共通感染症(結核、赤痢、炭疽病、オウム病など)が多くあります。
また少し前にSARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザが流行りましたが、これからは動物から人間へ移る病気が増えると思われます。
これを防ぐためには、動物の病気の段階でしっかりと治しておくことが大切です。



2 ピロリ菌とは

 日本人の主要死因別死亡者数(平成19年)を見ますと、

 第一位 悪性新生物 約33万人
 第二位 心疾患   約17万人
 第三位 脳血管疾患 約13万人


 となっています。
悪性新生物(ガン)で亡くなる人は年々増えており、全世界では毎年約700万人がガンで死亡しています。
日本でもガンが死因のトップです。
中でも胃ガンが多く、全ガン死亡の10%を占めています。

 この胃ガンの原因として、近年注目されているのが「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)です。

 ピロリ菌を発見(1984年)したのはオーストラリアのマーシャル、ウォーレン両博士で、2人は2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 ピロリ菌は鞭毛をもっていて、これをくるくる回しながら移動します。
ピロリ菌はグラム陰性らせん菌に属し、胃の中に棲んでいますが、微好気性で若干の空気を必要とします。

 なぜ強酸の胃の中で生息できるのかといいますと、ピロリ菌は尿素を分解してアンモニア(アルカリ性)を作ります。
これで胃酸から逃れ、胃粘膜で増殖します。

 ピロリ菌は急性胃炎・慢性活動性胃炎の原因菌です。
また、胃ガン、胃・十二指腸腫瘍の発生にも関係しています。
日本人は2人に1人(約6000万人)がピロリ菌に感染していると言われます。

 医学的には、ピロリ菌の駆除にはアモキシリン、クラリスロマイシン(いずれも抗生物質)、オメプラゾール(胃酸分泌抑制剤)の3剤併用療法が認められています。これで90%除菌できます。
 


3 ピロリ菌と胃ガン

 「感染ガン」というのがあります。
ウイルス、細菌、寄生虫などの感染を背景に発症するガンです。例えば、

■胃ガン
ピロリ菌の感染による。全ガン死亡の約10%を占める。

■肝細胞ガン
B型・C型肝炎ウイルス。全ガン死亡の6%を占める。

■子宮頸ガン
パピローマウイルスの感染による。全ガン死亡の5%。

 特にピロリ菌は、臨床疫学研究により、1994年にWHO(世界保健機構)から「グループ1」(最も危険度が高い)発がん因子に認定されました。

 胃ガンになるにはいくつかのタイプがあります。

(1)腸型胃ガン
=胃の粘膜にピロリ菌が感染すると消化性腫瘍ができます。
 これが進展して胃ガンになります。

(2)びまん型胃ガン(スクルス胃ガン)
=正常な胃粘膜はヒダがきれいですが、ピロリ菌が感染すると萎縮性胃炎を起こし、固くなります。
 これが腸状皮化生を起こし、胃ガンに進展します。

 ヒトの全ガン死亡の約20%は感染ガンに起因するといわれています。
ただし、感染因子を除去することにより、発ガンプロセスを阻止することが可能と考えています。

 ピロリ菌が胃のガン化にどのように関わっているかといいますと、ピロリ菌は胃の上皮細胞に取りつきます。
そして微細な注射針(Ⅵ型分泌機構)で細胞膜に穴を開けます。
そこからCagAタンパク質を細胞内へ注入します。
このタンパク質は細胞にさまざまな信号を発します。
そのため細胞の正常な働きが妨げられ、細胞を正しく制御することができなくなり、無限に増殖(ガン化)するとされています。




4 胃ガンの予防

 では、胃ガンを予防するにはどうすればよいでしょうか。  

 胃にピロリ菌が感染すると、胃粘膜に慢性萎縮性胃炎が起きます。
これが腸上皮化生を起こし、やがて胃ガンが発生します。
また萎縮性胃炎に変異原性物質や発ガン物質、酸化ストレスが作用することによって起こることもあります

 ですから、こうした過程のどこかをブロックすれば発ガンを抑制できることになります。
それには次のようなものが役立つとされています。

■ピロリ菌の除菌・静菌  カテキン、梅エキス、マスティック

■炎症の抑制  COX-2(シクロオキシゲルマニウムナーゼ)阻害剤、NSA-Ds(非ステロイド性抗炎症剤)

■酸化ストレスの軽減  抗酸化物質(ビタミン、ミネラル、リグナン)

■過剰な再生の抑制  NF-KB阻害剤(ステロイドなど)

 胃ガンは日本人や中国人に多いですが、これは塩分の多い食事と関係があります。
これはピロリ菌に感染したスナネズミの胃を用いた実験で証明されています。

 なぜ高塩食が胃ガンの発生を促進するかというと、胃の粘膜は粘液によって守られています。
胃の粘膜にはⅡ型とⅢ型があります。
高塩食を摂るとⅡ型の粘液の分泌は増加し、Ⅲ型粘液の分泌は減少します。

 Ⅱ型粘液はピロリ菌の温床になり、ピロリ菌を増やす働きがあります。
一方Ⅲ型粘液にはピロリ菌の増殖を抑える働きがあります。
したがって、高塩食を摂るとⅡ型粘液が増え、ピロリ菌が増殖し、胃ガンが発生しやすくなるのです。
 もう一つ、タバコも酸化ストレスを増やし、発ガンに加勢します。




 


5 マスティックとは?

そこで本題のマスティックには、

 □抗ピロリ菌作用
 □抗MRSA、VRE作用
 □抗マラチア作用


などがあります。

 「マスティック」というのは、ギリシャ南東部のヒオス島だけに群生しているウルシ科のマスティックの木(Pistacia lentiscus)から採れる樹液です。

 心地よいヒノキの香りと味を持ち、古代ギリシャ時代から、樹液をそのまま口に入れて噛むことで、歯を輝かせたり、丈夫にするのに用いられたといわれます。
また、胃が痛いときにも使用された経験があると言います。

 現在、マスティックは加工食品の原料として使われているほか、世界25カ国の薬局方に指定されており、薬の成分としても使用されています。

 ガムマスティックはチューインガムのほか、薬品、食品、ドリンク、香水、歯みがき、化粧品、絵画用ニス、手術用糸、絶縁ペイント剤、映画フイルムの保管など、60種をこえるさまざまな用途に用いられます。

 ナッツの一つピスタチオ(Pistasia  vera)や、学問の木といわれるカイノキ(Pistasia  chinensis)もウルシ科で、マスティックはの仲間です。


6 マスティックの成分

 約1年前、私は(株)アライアンス(「マスマリン」の販売元)の美濃部社長から、マスティックの成分を調べてほしいとの依頼を受けましたが、全く知らない植物でしたので私なりに調べてみました。

 はじめに調べたのはマスティックに関する特許関連の情報でした。
すると口腔用組成物、口臭低減組成物、化粧料、医療保健食品など、数十件の特許情報が公開されていました。

 もう少し、科学的に研究した論文はないかと調べたところ、世界で500件くらいの論文が発表されていました。その中に、マスティックはの抗菌活性に関するものが20件ばかりありました。

 その1つは1998年にHuwez博士らが英国の有名な医学雑誌「New Engrand journal  of  Medicine」に発表したものです。
それによると、マスティックには抗ピロリ菌作用と抗潰瘍作用があり、現在、マスティックは胃炎の鎮痛、胃、十二指腸潰瘍、胃ガンの予防などの素材として注目されているとのことでした。

 そして、数々の臨床試験や基礎研究のうちの一部が紹介されていました。

1、マスティックガムはピロリ菌を殺菌する。

2、十二指腸潰瘍治療におけるマスティックの二重盲検臨床試験

3、胃潰瘍の治療におけるマスティック

4、抗酸化剤としてのマスティック


などです。

 私は約1年ほどマスティックを研究し、いろいろな成分の中から抗菌活性のある精油成分を抽出することに成功しました。

 それまでに産業医科大学微生物教室の谷口初美教授の下で、マスティックに薬剤耐性菌に対する抗菌効果が調べられていました。

 谷口先生が調べられた菌は、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ菌)VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)E・coli(大腸菌)P・a(多剤耐性緑膿菌)です。
その方法は、この4種類の菌液各20マイクロリットルと30%マスティックオイル180マイクロリットルを混合して、反応時間をいろいろと変え、それぞれの抗菌効果を調べるというものでした。

 その結果、マスティックオイルは4種類の薬剤耐性菌に対して抗菌効果があることが確認されました。
特許も出願されています。



7  成分の溶媒分画

 こうした結果を受けて私は、マスティックに含まれる抗菌成分ついて調べてみることにしました。

 はじめに、マスティックの有効成分ついて書かれた文献がないかを調べてみました。すると、2005年の米国の医学雑誌に「GCMSによるマスティック精油の成分分析」という論文が発表されているのが見つかりました。

 その研究では、マスティックに含まれている精油成分を水蒸気蒸留により抽出し、これをGCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて成分の分析をしていました。
そして、その精油成分の抗菌効果を調べたところ、大腸菌、黄色ブドウ菌、枯草菌に対して抗菌効果があることがわかった、と報告されていました。

 ただ、マスティックには精油成分以外にも成分があるので、私は溶媒分画してさらに調べてみることにしました。

 その方法は、マスティックの塊1.5gを乳鉢で粉砕します。
次にこれをヘキサンとメタノールという2つの有機溶媒に溶かします。これをエバポレーターという装置で減圧濃縮し、それぞれからマスティックヘキサンエキス(MH)とマスティックメタノールエキス(MM)を抽出しました。



8 抗菌活性

 次に、この二つの抽出物について、薬剤感受性試験によって抗菌活性を調べる実験を行いました。

 まず、4種類の菌を各シャーレの中で培養します。
次にペーパーディスク(濾紙)にマスティックのヘキサン抽出物(MH)とメタノール抽出物(MM)の濃度を変えて、それぞれ染み込ませます。それを各シャーレの中に置きます。

■披検菌(4種類)
 大腸菌O157(毒素非産生)、緑膿菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)です。これらの菌を、普通寒天培地(NA)とミュラーヒントン寒天培地(MHA)という2類のシャーレ(10㎝)の中でそれぞれ培養します。

■被検ディスク(直径8mm)
 ペーパーディスク1枚につき、マスティックのヘキサン抽出物を5㎎と20㎎、それぞれ染み込ませます。

■試験方法(薬剤感受性試験)
 それぞれ37℃で2日間培養し、阻止円の大きさを測定します。

■試験結果
 MRSAを培養したシャーレの中に入れたヘキサン抽出物(MH)20㎎濃度のディスクの周りにだけ阻止円(増殖阻止効果)が見られました。この阻止円(増殖阻止効果)が見られませんでした。

 この結果により、マスティックのヘキサン抽出物には、MRSAに対する抗菌活性があることが確認できました。


9 マラセチアとは?

 次にマスティックの抗マラセチア(真菌)活性について調べることにしました。
その話をする前に、少しマラセチアについてお話しておきます。

 マラセチアは、ヒトや動物の皮膚に常在する酵母様真菌(カビの一種)で脂質を栄養源として増殖します。
ヒトでは癜風(でんぷう)という皮膚病の原因にもなります。
また、マラセチア菌はマラセチア毛包炎やアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎の原因にもなります。
カテーテルを介して感染する真菌血症の原因にもなります。

 真菌症は感染する体の部位によって、表在性真菌症(皮膚の表皮や爪など)深部皮膚真菌症(真皮や皮下組織など)深在性真菌症(内臓など)に分類されます。

 病原となる真菌には、マラセチア真菌の他に皮膚糸状菌(水虫やたむし)やカンジタ菌(カンジタ症)、アスペルギルス真菌などがあります。
 一般に真菌は、人体に致命的な影響を及ぼすものは少ないと考えられています。
そのため国内の抗真菌薬は、主に4系統くらいが使用されているだけで、精力的に研究開発が行われていないのが現状です。



10 抗真菌活性

 そこで私たちは、マスティックのヘキサン抽出物の抗マラセチア活性について調べてみました。
すると、驚くべき結果がでました。

 試験は、抗菌活性と同じく薬剤感受性試験で行いました。
ペーパーディスク(濾紙)に「深海鮫のスクワレン」「マスティックのヘキサン抽出物」それに「深海鮫のスクアレン+マスティックのヘキサン抽出物」をそれぞれ濃度を変えて染み込ませます。
そして、真菌を培養したシャーレの中に各ディスクを置いて、阻止円の大きさで抗真菌活性を判定しました。

■被検菌
 マラセチアをミューラーヒントン寒天培地(MHA)のシャーレ(10㎝)の中で培養します。

■被検ディスク(直径8mm)
 次のように、いろいろな量、組み合わせで濾紙に染み込ませます。
①   スクワレン(25㎎)
②   ヘキサン抽出物(5㎎、10㎎、20㎎)
③   ヘキサン抽出物(5㎎、10㎎、20㎎)
   +スクワレン(25㎎)の組み合わせ
④   ヘキサン抽出物(10㎎)
   +スクワレン(5㎎、10㎎、20㎎)の組み合わせ

■試験方法(薬剤感受性試験)
 それぞれ37℃、2日間培養後の阻止円の大きさを測定します。

■試験結果
 ①と②にはほとんど阻止円(増殖防止効果)は見られませんが、
③と④には大きな阻止円が形成されました。
これは、ヘキサン抽出物とスクワレンとの相乗効果によるものと考えられます。
特に③では、スクワレンの濃度を濃くするほど(濃度依存性)抗マラセチア活性が増強されることが認められました。



11 成分の化学構造式

 そこで次に、抗菌、抗真菌性をもつマスティックのヘキサンエキスの中に、どのような成分が含まれているかを調べてみました。

 まず、ヘキサンエキスをGCM(ガスクロマトグラフ質量分析計)にかけ、成分を分析しまし。
その結果、前述の2005年の医学雑誌と同じ精油成分が同定されました。
しかし、これら、精油成分がマスティックの抗真菌活性成分ではないと考えられたので、ヘキサンエキスをカラムクロマトグラフィーを用いて10フラクションに分画しました。

 それぞれ10フラクションに分画したヘキサンエキス成分5㎎にスクアレン25㎎を加え、それぞれの抗マラセチア活性を先ほどと同じようにペーパーディスクを用いた手法で調べました。
その結果、第1分画から第5分画に、強い抗マラセチア活性が認められました。

 さらに抗マラセチア活性が認められた活性成分の化学構造式を、NMRなどの装置を使って調べました。
その結果、現在までに6種類の化学構造式を同定することができました。

 これらはマスティックの抗真菌活性に関する特許を国際特許で出願しています。(PCT/JP2010/57658)。

 ただ、マスティックにはこれ以外にもたくさんの活性成分が含まれていると推測されるため、これから続けて調べていくつもりです。



12 マスティック製品

 抗菌・抗真菌作用のあるマスティックとスクアレンを主材とした健康食品が「マスマリン」です。
 
☆「マスマリン」

 抗ピロリ菌作用を有し胃・十二指腸潰瘍の治療に有効な「マスティック」と、深海鮫肝油の「高純度スクアレン」の【ちから】を組み合わせた健康食品です。

 スクアレンは、深海に生棲するアイザメの肝油から抽出、精製したものです。ヒトの体内でも生合成、コレステロールを合成する際の中間体となるものです。

 スクアレンは細胞への浸透力が強く、潰瘍を起こしている部位を改善されるとしています。
また肌への浸透性が良く、潤いもキープするので化粧品の原料として用いられることが多く、安全な素材です。
マスマリンは国内特許出願中です。(特願2001-086363号)。

 召し上がり方は、通常、1日6~8球を目安に、噛まずに水またはぬるま湯なので、2~3回に分けて食間にお召し上がりください。

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎などによる胃の痛みや不快感のある方は、約2週間を目安に続けていただくと自覚症状の解消に役立ちます。
またピロリ菌でお困りの方は、1~3ヶ月くらい続けていただくと除菌に役立ちます。
その他、慢性疲労や免疫力の回復にも役立ちます。

 外用としては、マスマリンの球に針などで穴を開けて中身を取り出し、直接つけると皮膚症や口内炎などによいとことが報告されています。
その他、歯周病や歯肉炎には、歯磨き剤と混ぜて歯みがきしていただくと効果的だということも分かっています。

 もう一つ、動物専用皮膚疾患外用塗布剤の「マスマリンローション」(獣医専売品)があります。
マスティックとスクアレンを組み合わせた動物専用ローションで犬の細菌性外耳炎やマラセチア性外耳炎の治験例が報告されています。

 マスティックのヘキサン抽出物には、まだ解明されていないさまざまな成分が含まれています。
私どもの今後の課題としてはそれらを同定し、科学構造式を明らかにしていきたいと考えています。
さらに、ヘキサン抽出物の抗MRAおよび抗マラセチア活性には、どのように作用しているのも解明していきたいと思います。

 先日、ほとんどの抗菌薬が効かないスーパー耐性菌が出現したという記事が新聞に掲載されていました。
これまでの耐性菌には、薬剤を発見し開発することで乗り越えてきました。
しかし、今後、スーパー耐性菌に対して新たな新薬が登場する見通しはありません。

 これからの感染症に対しては、今までのように微生物を完全に死滅させる強い薬剤ばかりでなく、マスティックのような天然のものを用いて治療することも一つの方法ではないかと思います。

 これらのことをふまえ、(株)アライアンスと共に新製品の開発を進め、皆さんのお役に立つ良い製品を世に送り出せたらとい考えております。(了)



以上、(学術資料)「マスティックと感染症について」
九州大学院准教授 宮本智文先生

「月間人間医学」人間医学社刊抜粋 発行:統合医療研究会 より

 
※上記資料、店頭にあります。



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